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大野和士指揮 リヨン歌劇場来日公演 「ホフマン物語」 [オペラ(国内)]

リヨン歌劇場来日公演 歌劇「ホフマン物語」
※全5幕、原語[フランス語]上演・日本語字幕付き

(2014年7月5日 オーチャードホール)

作曲:ジャック・オッフェンバック
台本:ジュール・バルビエ

演出・衣裳:ロラン・ペリー
演出協力:クリスチャン・ラット
衣裳協力:ジャン=ジャック・デルモット
台本構成/ドラマトゥルク:アガット・メリナン
舞台:シャンタル・トマ
照明:ジョエル・アダン
ビデオ:シャルル・カルコピーノ

指揮:大野和士(フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者)

キャスト:
ホフマン:ジョン・オズボーン
オランピア/アントニア/ジュリエッタ/ステッラ:パトリツィア・チョーフィ
リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット:ロラン・アルバロ
ミューズ/ニクラウス:ミシェル・ロジエ
アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:シリル・デュボア
ルーテル/クレスペル:ピーター・シドム
ヘルマン/シュレーミル:クリストフ・ガイ
ナタナエル/スパランツァーニ:カール・ガザロシアン
アントニアの母:マリー・ゴートロ

合唱指揮:アラン・ウッドブリッジ
合唱:フランス国立リヨン歌劇場合唱団
管弦楽:フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団

*****

昨年8月の二期会、12月の新国立劇場に続いて、この1年で3回目の「ホフマン物語」。
最高に素晴らしい「ホフマン物語」を見ることができました!

昨年末の「大野和士が語る『ホフマン物語』の魅力」のレクチャーでは、「ホフマン物語」の歌には、「愛の讃歌」や「愛は二人のために」といったシャンソン、フォークソングに似ているものもあると、情熱的に語っていた大野さん。
それを実践したかのように、表現力豊かに、たっぷりと高らかに歌い上げた音楽や歌が続き、何度も胸を熱くさせられた。

リヨン歌劇場管弦楽団は、キレ良く、色彩感豊かなドラマティックな演奏。
歌手も役者かと思えるような芸達者な者もいて、フランス語の発音がとても音楽的で美しい。
合唱もよくそろった明晰な歌声で上手かった。

二期会、新国立劇場版ではオランピア、ジュリエッタ、アントニアの順だったけれど、今回はオランピア、アントニア、ジュリエッタの順番。
そしてその3人+ステッラの4人のヒロインをチョーフィが一人で歌い演じるというのが画期的。
ホフマンが過去に愛した3人の女性は一人という趣旨を演出したものとのことです。
人形、芸術家、娼婦、恋人を演じわけたチョーフィがまことに持ってお見事で、情感細やかな素晴らしい歌声を聴かせてくれました。

特に第3幕の「アントニアの幕」は圧巻。
大好きな「雉鳩は逃げた」の甘美なアリアに始まり、ロマンティックな二重唱、迫真の三重唱、フィナーレのアントニア絶命までの感動的な歌声と音楽の連続で、ドキドキさせられながらも歌声に酔いしれた。

第3幕の途中で召使フランツが「ダンスが好き・・・」と足を上げてコミカルに歌う場面では、何やら大野さんが頭の上に両手で何かを持ってボキボキと変な音を・・・?
なんと大野さんがペットボトルを潰して発した音でした!
幕間に指揮台の下を見たら2ℓのつぶれたペットボトルが転がっていました(笑)。

ホフマンを歌ったオズボーンは、昨年のザルツブルク音楽祭の「ノルマ」でも聴きましたが、その時は共演のバルトリに食われてか今一つ。
でも今回は終始、伸びやかな歌声と生き生きとした演技で、最初から最後まで聴かせてくれ、はまり役でした。
ミューズ役のロジェも暖かみのある美しい歌声。
リンドルフ役のアルバロも終始、迫力のある歌声で素晴らしく、その存在感に圧倒されました。

ロラン・ペリーの演出は、モダンかつスタイリッシュな暗めのホラーな舞台。
そう奇をてらわないシンプルな舞台なので、音楽と歌の邪魔にならず、登場人物の心中を際立たせていた。
第4幕の「ジュリエッタの幕」でも、通常の舟も運河もなく、暗いサロンに椅子が何客かあるだけのシンプルさ。
そしてジュリエッタがホフマンに殺される悲劇的なフィナーレは初めて見たような気がします。

全体的に壁面、床面と絶えず動く舞台装置でした。
オランピア役のチョーフィはクレーンの先の椅子に座って、空中を上下、左右に動きながら歌っていました。
まるで遊園地さながらの乗り物に乗っているかのようで、高速で上から下降しながら、よく酔わずに歌えるものかと感心しきり。
プログラムによると、9年前に初めて歌ったときは怖かったけれど、もう慣れたそうです(笑)。
またステージ上では大きなローラーのついた台座に乗って、左右に動き回っていました。
カーテンコールでもチョーフィはオランピアの衣装でこの台座に乗ってスーッと出てきたけれど、誰がどう操作しているのか?、最後までよくわからず、不思議な仕掛けでした。

そのチョーフィ、カーテンコールではノリノリで、自ら手拍子をしながら、観客の拍手を一つにまとめ上げたりをして、楽しい公演の締めを飾ってくれました。

TVカメラが入っていましたので、そのうちTVで放映されるかと思います。
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