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ローマ歌劇場日本公演 「ナブッコ」 (6/1) [オペラ(国内)]

ローマ歌劇場「ナブッコ」
2014年6月1日(日)15:00開演/NHKホール

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
「ナブッコ」全4部のオペラ
台本:テミストクレ・ソレーラ

指揮:リッカルド・ムーティ
演出・美術:ジャン=ポール・スカルピッタ
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ

ナブッコ:ルカ・サルシ
イズマエーレ:アントニオ・ポーリ
ザッカーリア:ドミトリー・ベロセルスキー
アビガイッレ:ラッファエッラ・アンジェレッティ
フェネーナ:ソニア・ガナッシ
祭司:ルーカ・ダッラミーコ
アブダッロ:サヴェリオ・フィオーレ
アンナ:スィムゲ・ビュユックエデス

ローマ歌劇場管弦楽団、ローマ歌劇場合唱団

*****

昨年夏のザルツブルクでの「ナブッコ」とザッカーリア、フェネーナ、祭司、アブダッロ、アンナは同じ歌手が歌っていた。
ザルツブルクのアビガイッレはタチアナ・セルジャンだったけれど、急病でドタキャンし、新進気鋭の歌手に変更になってしまい聞きそびれておりました。
そして日本公演でやっと聴けると思っていたのにドタキャン。
家を出る時にHPで確認したときは、セルジャンの名前が予定キャスト表に記載されていたのに、ホールに着いてみれば、体調不良が回復せず、代役とのこと。
またもや振られました・・・

今回の演出は、新国立劇場のショッピングセンターを舞台にした変な演出の「ナブッコ」とは対極的に、背景以外はほとんど何もない演出。
何もなさすぎて初めて見る人には、場面が王宮なのか牢獄なのか、また宗教的な対立等も、歌手が歌い語るまではわからない状況なのでは・・・と逆に心配になってしまうくらいでした。

そんな何もない舞台で効果的な演出を見せてくれたのは、ムーティ指揮のダイナミックかつドラマティックな音楽。切れ味の良い、よく引き締まった演奏で素晴らしかったです。

ナブッコが頭を雷に打たれる場面も演出上は何もなかったけれど、奏でられた音楽の一撃はすさまじいこと。
ベル神の偶像もなく、劇的な偶像崩壊シーンもなかったのには拍子ぬけだったけれど、歌われる音楽からその状況がわかる演出。
音楽と言葉から劇的なストーリーがどんどん進行していった。

ナブッコ役のサルシや昨日に続いて連日出演のザッカーリア役のベロセルスキーが朗々たる歌声で聴かせてくれ、素晴らしかった。
アビガイッレ代役のアンジェレッティの歌声は綺麗だけれど、声量弱く、高音は絶叫調。
歌うだけで精一杯といったところで、表現力はまだこれからでしょうか。
残念ながらアビガイッレの凄味も怖さも哀れさもあまり感じられませんでした。
急な代役ですから仕方がありませんね。がんばって歌い切ったので敢闘賞といったところでしょうか。

合唱団は、終始、迫力のある歌声で大健闘。
有名な「行け、わが思いよ金色の翼に乗って」は情感豊かな素晴らしい大合唱で感動的。
もう一回、聴きたいくらいでしたけれど、ムーティはめったなことでアンコールはしないようです。
というのも、前日の「シモン」の時に購入した「リッカルド・ムーティ イタリアの心 ヴェルディの心を語る」によると、アンコールした思い出として、ムーティがスカラ座の音楽監督に任命された最初のシーズンのオープニングで、アンコール演奏が禁止されているスカラ座でこの曲をアンコールし、大論争を引き起こしたこと、また2011年にローマ歌劇場の公演で国の文化予算の削減に反対する意味でアンコール演奏を行ったことを挙げていました。
聴衆の盛り上がりだけではなく、こうした意義ある時しかアンコールをしないというムーティですから、通常の来日公演でやってもらうのは難しいだろうな~と思ってしまいます。

ナブッコが「ユダヤの神よ。祭壇も神殿も」と許しを請う場面とフェネーナの情感豊かな「ああ、天国は開かれた」と祈り捧げる場面も、感動的で心揺さぶられました。

最終日とあって、何度かのカーテンコール後、オーケストラの団員もステージに上がって、恒例の横断幕「公演大成功、おめでとうございます! マエストロ・ムーティありがとう! 皆さん、ありがとう!」sayonaraと共に、ローマ歌劇場公演も終了しました。
ヴェルディの音楽の素晴らしさをあらためて教えてくれたマエストロに心より感謝!
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